「検索結果のほかのページと比べて、大きな価値があるか」。Googleは有用なコンテンツの作り方のガイド(英語版は2026年10月5日に改訂)で、作り手が自分に問うべき質問の1つにこれを挙げています。
比べる相手を知らなければ、この問いには答えられません。SEO競合分析とは、狙うキーワードの検索結果で上位にあるページとサイトを調べて自社との差をつかみ、どのテーマで何を書き、どこを見送るかを決める作業です。
競合分析の出口は、上位ページの真似ではなく「書く・直す・見送る」の判断です。ツールの数字は推定値や独自の指標が多いので、競合どうしを比べる物差しにとどめ、Googleの評価そのものとは切り分けて読みます。
CONTENTS
事業の競合と検索の競合は違う
SEOでいう競合は、同じキーワードの検索結果で上位に並んでいるページです。商談で名前が挙がる同業他社と、検索結果で順位を争う相手は一致しないことのほうが多くあります。
| 区分 | 事業の競合 | 検索の競合 |
|---|---|---|
| 誰か | 同じ顧客を取り合う同業他社 | 同じキーワードで上位に表示されるページ |
| 顔ぶれ | 業界内の企業 | 大手メディア、公的機関、Q&Aサイト、EC、比較サイト、動画、個人ブログなど |
| 単位 | 会社・ブランド | キーワードごと、ページごと |
| 知りたいこと | 価格や機能、売り方の違い | 検索した人の疑問にどう答え、どこで評価されているか |
たとえば税理士事務所が「確定申告 やり方」で上位を狙うなら、相手は近所の事務所だけではありません。全国の人に向けた公的機関の案内ページや、会計ソフト会社の解説記事も、同じ検索結果に並びうるからです。事業の競合だけを見ていると、実際に順位を争っている相手を見落とします。
SEO戦略(SEO戦略の立て方)の中では、競合分析は自サイトの現状分析を補う工程にあたります。Search Consoleで見られるのは、自社が所有権を確認したか、権限を付与されたサイトの数字だけです。相手がどこで勝っているかは、検索結果とページそのものから読むしかありません。
ツールの数字は物差し。事実・推定値・Googleだけが持つものに分ける
競合分析で扱う数字は、性質で3つに分かれます。同じ表に並べると区別がつかなくなるので、シートにも数字の性質を書いておきます。
| 数字の性質 | 例 | 使い方 |
|---|---|---|
| 確認できる事実 | 検索結果の顔ぶれ、ページの内容、更新日、書き手 | 分析の中心にする |
| ツールの推定値 | Domain Rating(DR)などの独自スコア、推定流入、獲得キーワード数、被リンク数 | 同じツールの中で競合どうしを比べる |
| Googleだけが持つもの | 各ページの評価、ランキングの仕組みの中の数値 | 外からは見られない。推測で埋めない |
たとえばAhrefsは公式ヘルプで、DRを自社のデータベースにあるほかのサイトと比べた被リンクの強さを100段階で示す指標だと説明しています。推定流入も、順位と検索ボリューム、推定のクリック率から計算した値で、実際の流入数を正確に示すものではないと明記しています。
3つ目の「Googleだけが持つもの」は、どのツールを使っても埋まりません。Google の評価そのものは外から見られないので、DRが高いから上位にいる、と読むのは推定値で評価を推測していることになります(ツールごとに何が見られるかは SEOツールは無料から入れる?)。
上位ページの文字数をそろえる分析も要りません。Googleが目安の文字数を持っていないことは SEO記事の書き方 で確かめられるので、平均文字数を測るより、上位ページが答えていない疑問を探すほうが役立ちます。
競合分析は5つの手順で進める
競合分析は「目的と対象キーワードを決める」「競合を特定する」「指標を集める」「差分を見つける」「打ち手を決める」の順に進め、打ち手を実行したら時期を決めて見直します。
- 目的と対象キーワードを決める新規記事の前か、リライトの前か、サイト全体の方針か
- 競合を特定する実際に検索し、上位を種類で分ける
- 指標を集めるページ単位とサイト単位を、同じ条件で記録する
- 差分を見つけるキーワード・内容・被リンクの3つで比べる
- 打ち手を決める書く・直す・切り口を変える・見送るから選ぶ
目的を決めずに始めると、ツールの数字を集めた表が残るだけで次の一手が決まりません。対象キーワードの洗い出しと優先度のつけ方は キーワード選定のやり方 にまとめています。すでに記事があって順位が伸び悩んでいるなら、手順3と4から入っても構いません。
競合はどう見つける?検索結果から特定する方法
競合を見つけるいちばん確かな方法は、対象キーワードで実際に検索し、上位10件ほどを1件ずつ開くことです。ツールが「競合サイト」として挙げるドメインは参考になりますが、キーワードごとの顔ぶれとは一致しないことがあります。
すでに運用しているサイトなら、対象キーワードはSearch Consoleの検索パフォーマンス(見方は サーチコンソールの使い方)から選べます。表示回数が多いのに掲載順位が伸びないクエリや、狙っているのに表示されていないテーマが候補です。
検索結果は地域や端末、ログインの状態で変わることがあるため、毎回同じ条件で見ます。上位のページは、次のように分けて記録します。
- 直接の競合自社と同じ形式(解説記事、サービスページなど)で、同じ疑問に答えているページ
- 形式の違う結果動画、Q&Aサイト、ECの商品一覧、ニュースなど。検索した人が記事以外を求めているサインになる
- 勝負しにくい相手公的機関や業界の公式サイトなど、情報の出どころそのもののページ
分析の中心にするのは直接の競合で、ほかの2つは検索意図を読む材料に使います。上位の大半が動画やECなら、そのキーワードで解説記事を書いても上位には届きにくくなります。AI Overviewsが出るキーワードでは、回答に添えられた根拠リンクがどのサイトかも控えておくと、どんな情報源が選ばれているかがわかります。検索結果から意図を読む細かな手順は 検索結果から検索意図を読み解く方法 にあります。
10件すべてを同じ深さで読む必要はありません。次の章のページ単位の5項目まで詳しく見るのは、直接の競合のうち上位の3本ほどで足ります。COCORO Pulse.もテーマの全体像を扱うピラー記事を書く前は、上位に表示されている同じ種類の記事3本と比べています。
サイト全体の方針を決めるときは、対象キーワードを10〜20語ほど検索し、繰り返し上位に出てくるドメインを「サイト単位の競合」とします。1つのキーワードだけで決めると、たまたまそのテーマに強いサイトを競合と見誤ります。
指標はページ単位から見て、サイト単位は後で確かめる
競合を見るときは、先にページ単位で「検索した人にどう答えているか」を確かめ、次にサイト単位で「そのページを支える土台」を見ます。ページ単位は前の章の「確認できる事実」、サイト単位の数字の多くは「ツールの推定値」にあたります。
ページ単位で見る5つの指標
ページ単位の指標は、どれもページを開けば確かめられます。ツールが無くても、検索して開けば記録できる部分です。
- 検索意図への答え方冒頭で何に答えているか。定義か、手順か、比較か、おすすめか(意図の分け方は 検索意図とは?)
- 扱う範囲読者が次に抱く疑問まで答えているか。見出しの数ではなく、答えている疑問の中身で見る
- 一次情報独自の調査や事例、実際に試した結果、書き手の経験が入っているか
- 更新日情報が古くなりやすいテーマで、最近の内容に直されているか
- 書き手と運営者誰がどんな立場で書いたかがわかるか
サイト単位で見る3つの指標
サイト単位では、ページを支えている土台を見ます。
- テーマの広さ対象キーワードの周辺テーマについて、どれくらいの記事がまとまってあるか
- 被リンクどんなサイトから、どれくらいの数のリンクを受けているか
- 推定流入と獲得キーワードSEOツールで見る、検索からの流入の推定値とキーワードの数
テーマの広さは、専門性をサイト全体で示す考え方(トピカルオーソリティとは?)と関わります。被リンクと推定流入、獲得キーワードは、AhrefsやSemrushなどのSEOツールのデータが無いと調べられません。無料の範囲や試用でどこまで見られるかはツールごとに違うので、SEOツールは無料から入れる? の料金表で比べてから選んでください。
差分はキーワード・内容・被リンクの3つで洗い出す
差分は「キーワード」「内容」「被リンク」の3つの切り口で洗い出します。ただし見つけた差を全部埋める必要はありません。自社の読者と事業に関係のある差だけを打ち手の候補にします。
キーワードの差
競合が上位に表示されていて、自社が表示されていないキーワードを探します。SEOツールの比較機能を使うと、複数の競合ドメインが獲得しているキーワードを一覧で出せます。出てきたキーワードは、自社で答えられるテーマかどうかで絞ります。
内容の差
上位ページが答えていて自社が答えていない疑問と、上位ページのどれも答えていない疑問の両方を探します。前者は既存記事に足す候補、後者は差をつける候補です。見出しの項目を横に並べて比べる方法はよく使われますが、見出しの有無だけで判断すると、どこにでもある説明を足すだけになりがちです。
被リンクの差
競合がリンクを受けていて自社が受けていないサイトを調べます。数を追うより、同じテーマのサイトや業界の団体、取引先など、関連のあるサイトからのリンクがどれくらいあるかを見るほうが実務では役立ちます。順位を上げる目的でリンクを売買したり、過度な相互リンクを持ちかけたりすることは、Googleのスパムポリシーがリンクスパムの例として挙げています。リンク元の一覧の出し方は 競合サイトの被リンク調査方法 へ。
分析結果をどう打ち手に変える?書く・直す・見送るの判断
打ち手は「検索意図に答えられるか」と「上位のページにない価値を足せるか」の2つの問いで決めます。1つ目が「いいえ」なら見送り、2つ目が「いいえ」なら切り口を変えます。見送るテーマを決めることも競合分析の成果です。
1つ目の問いは、検索した人が求めている形式と中身を自社が出せるかどうかです。上位の大半が商品一覧なのに解説記事しか出せないなら、そのキーワードは見送って別のキーワードを探すほうが現実的です。
2つ目の問いは、冒頭で紹介したGoogleの自己評価の質問そのものです。同じガイドは、ほかの情報源をもとにするなら、単に写したり言い換えたりせず、独自の価値を大きく足しているかも確かめるよう勧めています。形式は出せても上位と同じことしか書けないなら、足せる価値から考え直して切り口を変えます。
上位ページの構成をそのまま写し、言い回しだけを変えて公開する。Googleのスパムポリシーは、ほかのサイトのコンテンツを独自の価値を加えずに転載することや、少しだけ手を加えて写すことをスクレイピングの例に挙げています。
2つの問いにどちらも「はい」なら、既存記事があれば直し(SEOリライトのやり方)、なければ新しく書きます。競合分析で分かるのは「どこが空いているか」までで、そこに置く一次情報の探し方と、穴埋めだけでは足りない理由は コンテンツSEOとは? が詳しいです。
ただし、2つの問いはどちらも検索結果の側から見た条件です。空いているキーワードが見つかっても、それだけで書くとは限りません。
書かない理由
書かないキーワードを決めるときも上位の顔ぶれは見ますが、それ以上に、サイトのコンセプトや事業から見てその記事がどれだけ必要かで決めています。ボリュームを調べて狙い目を決めるやり方も間違いではありません。ただ、単発の施策として書いた記事はレベルが知れていて、サイト全体で見たときに文脈の深みが出せません。
10語を調べて「書く」「直す」がいくつも出たときも、まずサイトのコンセプトと事業に要るテーマかを確かめ、そのうえで問い合わせにつながるかと、そのテーマですでに表示されているかで順番を決めます。表示されているのに順位が伸びない既存記事は、検索結果にまだ出ていないテーマより先に手を付ける価値があると考えます。
競合分析シートの列と記入例
分析シートは1つのキーワードにつき1枚作ります。上半分に検索結果の記録、下半分に差分と打ち手を書く形にすると、表を埋めたあとに何をするかが自然に決まります。下の表の「項目」を、そのままスプレッドシートの見出しに使えます。
シートの項目
| 項目 | 区分 | 記入すること |
|---|---|---|
| 目的 | 前提 | 新規記事の前か、リライトの前か、サイト全体の方針か |
| 対象キーワードと検索条件 | 前提 | キーワード、検索した日、地域、端末 |
| 上位10件の記録 | 検索結果 | 順位、URL、種類(直接の競合・形式の違う結果・勝負しにくい相手) |
| 答え方と扱う範囲 | ページ単位 | 冒頭で何に答えているか、どこまでの疑問に答えているか |
| 一次情報・更新日・書き手 | ページ単位 | あり/なしと中身、更新日、書き手の立場 |
| テーマの広さ・被リンク・推定流入 | サイト単位 | ツール名と数値(推定・独自指標であることを明記) |
| 上位の傾向 | 差分 | 上位に共通する答え方や構成 |
| 抜け | 差分 | 上位のどのページも答えていない疑問 |
| 判断 | 打ち手 | 新規で書く/既存記事を直す/切り口を変える/見送る と、その理由 |
| 見直す日 | 打ち手 | 打ち手を実行した日と、結果を確かめる日(決め方は下) |
「見直す日」は、打ち手を実行した日から数えて置きます。既存記事を直したなら直した日から、新しく書いた記事はインデックスに登録されて表示され始めたのを確かめてから数えます。登録される前に見直しても、比べる材料がありません。どれくらい待ち、前後をどう比べるかは SEOリライトのやり方 にまとめています。
見直しの日には、同じ検索条件で上位10件を記録し直し、顔ぶれと自社の位置を前のシートと並べます。何の数字で結果を判断するかは SEOのKPIは何を見る? で決めておくと、見直しのたびに迷いません。
記入例 COCORO Pulse.のLLMO解説記事
COCORO Pulse.では、ピラー記事の構成案に「上位競合の傾向と抜け」を書く欄を設けています。記事制作の手順書で、上位に表示されている同じ種類の記事3本と比べて抜けている項目を確かめることを、着手前のチェックに決めているためです。
下の表は、LLMO(AI検索最適化)とは? の構成案に残したメモを、シートの「差分」と「打ち手」にあてはめたものです。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 上位の傾向 | 定義は「生成AI版SEO」で共通。構成は「定義→SEOとの違い→仕組み→対策5〜7個→自社サービス」。対策は構造化データ、FAQ、E-E-A-T、サイテーションの羅列が中心 |
| 抜け① | 何から着手すべきかの優先順位がない |
| 抜け② | 中小企業や限られた人員での現実的な進め方がない |
| 抜け③ | SEOとLLMOが別物か同じかで説明がばらばら |
| 抜け④ | 効果測定が「言及率を測る」で終わり、何を判断材料にするかが弱い |
| 打ち手 | 新規で書く。Googleの公式ガイドを根拠に抜け③へ答え、フェーズ別の優先順位の表で抜け①②に答える |
公開した記事では、抜け③への答えを「LLMOはSEOの上に乗る薄いレイヤー」という主張にまとめ、抜け①②にはフェーズ別の優先順位と目安工数の表で答えました。
抜けは「上位のページにないもの」を具体的な一文で書きます。「情報が浅い」のような評価の言葉で書くと、何を足せばよいかが決まりません。
分析の深さは状況で変える
競合分析の単位と深さは、サイトの状況で変えます。すべてのキーワードを同じ深さで分析する必要はありません。
| 状況 | 分析の単位 | 重く見る指標 | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| 新しく記事を書く前 | 1キーワード | 検索意図への答え方、上位の抜け | 構成案に抜けへの答えを入れる |
| 既存記事が伸び悩んでいる | 自社のすぐ上にいる数ページ | 扱う範囲、一次情報、更新日 | 差のある部分を書き足す |
| 立ち上げたばかりのサイト | テーマ単位 | 勝負しにくい相手の多さ、形式の違う結果 | 上位が手薄なテーマから書く |
| サイト全体の方針を決める | 10〜20語で繰り返し出るドメイン | テーマの広さ、被リンク | 力を入れるテーマと見送るテーマを決める |
立ち上げたばかりのサイトは、被リンクやテーマの広さで大きく差がある相手と正面から競うより、サイトのコンセプトに沿うテーマのうち、上位のページが手薄なものから始めるほうが成果につながりやすいと考えます。
まとめ
- SEOの競合は同じキーワードで上位にいるページです。事業の競合とは分けて、検索結果から特定します
- 数字は「確認できる事実」「ツールの推定値」「Googleだけが持つもの」に分けます。推定値は競合どうしの比較に使い、3つ目は推測で埋めません
- 分析の出口は「新規で書く・既存記事を直す・切り口を変える・見送る」の判断です。シートの「抜け」を具体的な一文で書くと打ち手が決まります
検索結果の顔ぶれは変わります。打ち手を実行したら、あらかじめ置いた「見直す日」に、同じ手順でもう一度シートを埋めてください。
参考にした一次情報
- Creating helpful, reliable, people-first content Google Search Central・英語版 最終更新 2026-10-05、確認日 2026-10-24
- Google Search Central「Spam policies for Google web search」スクレイピング・リンクスパム 最終更新 2026-08-28、確認日 2026-10-24
- Verify your site ownership Search Console ヘルプ・確認日 2026-10-24
- What is Domain Rating (DR)? Ahrefs Help Center・確認日 2026-10-24
- What is Organic Traffic in Ahrefs and how do we calculate it? Ahrefs Help Center・確認日 2026-10-24


