デジタルPRとは、調査データや新しい取り組みなど「記事にする価値のある情報」を、Webメディアの記者や編集者、同じ分野の書き手に届けて、取り上げてもらう広報活動です。SEOの面では、その結果として自然なリンクや言及、名前での検索が生まれます。
順番は、材料、届ける、記事にされる、リンクが付く、です。
リンクは頼んで付けるものではなく、記事にされた結果として付くものです。
リンクを条件にして届けた時点で、それは広報ではなくリンクの取引に近づきます。Googleのスパムポリシーも、ほかのサイトで配るプレスリリースや寄稿に、キーワードで固めたリンクを入れる形をリンクスパムの例に挙げています。
この記事は、外部対策のうち「届ける」部分の全体像です。何を材料に選ぶか、誰にどう届けるか、PRの活動ごとにどこからがポリシー違反やステマになるか、成果を何で測るかを1本にまとめました。リンクの評価の仕組みそのものは SEO外部対策とは で扱っています。
CONTENTS
デジタルPRとは?広報とSEOが重なるところ
デジタルPRは広報の一部で、成果がWeb上の記事・言及・リンクとして残る点が特徴です。似た活動にリンクの掲載依頼や記事広告がありますが、届ける相手と、相手が何を判断するかが違います。
| 活動 | 届ける相手 | 相手が判断すること | お金 | リンクの扱い |
|---|---|---|---|---|
| デジタルPR | 記者・編集者・同じ分野の書き手 | 読者に伝える価値がある情報か | 動かない | 書き手が必要と思えば付く |
| 従来の広報 | 新聞・テレビ・雑誌など | ニュースとして扱うか | 動かない | 紙面や放送には付かない |
| リンクの掲載依頼 | まとめ記事やリンク集の運営者 | 自分のページに載せたいか | 原則動かない | 依頼の目的そのもの |
| 記事広告・タイアップ | 媒体の広告窓口 | 広告として受けるか | 動く | 広告の印と属性が要る |
従来の広報との違いは、成果がリンクや言及として残り、検索の評価や名前での検索につながることです。リンクの掲載依頼(リンク営業)は、記事にしてもらうのではなく既にあるページに載せてもらう別の活動で、進め方は リンクの掲載依頼の進め方 にまとめます。
図1の点線は、材料を通さずにリンクだけを取りに行く道です。お金や物と引き換えにリンクを付けてもらえば、それは広報ではなくリンクの売買として扱われます。どこからがそうなるかは、後半の「どこからがリンクスパムやステマになる?」で活動ごとに整理しています。
デジタルPRはSEOに何をもたらす?
デジタルPRがSEOにもたらすものは、編集上の判断で付いたリンク、名前の言及、名前での検索、記事からの直接の訪問の4つです。どれも「頼んで付けた」ものではないことが価値になります。
- 記者や書き手が自分の判断で付けたリンク
- リンクが無くても、社名やサービス名が記事に載ること
- 記事を読んだ人が、名前で検索して来ること
- 記事のリンクから、関心の高い読者が直接訪れること
Googleは「SEO Starter Guide」で、ほかのサイトからリンクされるのは時間をかけて自然に起きることだと書き、サイトを知ってもらう方法については口コミを「最も効果的で長続きする方法の1つ」としていますと書いています。リンクは集めに行くより、価値のある情報が知られた結果として増えていく、という立場です。
Googleの検索品質評価ガイドライン(2025-09-11版、3.3.1)は、評価者がサイトや運営者の評判を調べる情報源として、ニュース記事や雑誌の記事、ブログ記事、フォーラムでの議論などを挙げています。評価者の判断は順位を直接決めるものではありませんが、Googleが「信頼できる評判」をどこに見ているかの手がかりになります。評判と経験・専門性の関係は E-E-A-Tとは で扱っています。
リンクが付かない言及にも意味はあります。社名が記事に載ることが検索やAIでの認知にどう関わるか、言及をどう見つけるかは、サイテーションの記事に分けました。
関連記事サイテーションとは?リンクのない言及が検索とAIで持つ意味と確かめ方サイテーションとは、ほかのサイトやSNS、口コミで社名やサービス名がリンクなしに言及されることです。Googleが言及について公式に書いていることと書いていないこと、評価者と同じ検索での確かめ方、作ってはいけない言及を示します。
なお、「デジタルPRはテクニカルSEOと同じくらい重要」といった、Googleの担当者のSNSでの発言を根拠にした説明を見かけます。この記事では、Googleが公開しているドキュメントに書かれたことだけを根拠にしています。発言は文脈から切り取られやすく、ドキュメントほど更新が追えないためです。
記事にされる材料とは?取り上げられる情報の型
記者が取り上げるのは、新しい事実、数字、専門家の見方、地域や業界の現場の具体です。自社の宣伝そのものは記事になりません。材料を選ぶ段階で「誰が、どの記事で使うか」まで決めておくと、届け方も決まります。
| 材料の型 | 例 | 向いている届け先 |
|---|---|---|
| 独自調査・データ | 自社の顧客アンケート、業界の実態調査 | 業界メディア、ニュースサイト |
| 新しい事業の動き | 新サービス、提携、地域で初めての取り組み | 業界メディア、地域のメディア |
| 専門家のコメント | 制度変更やニュースへの専門的な見方 | 記者、ニュースの解説記事 |
| 現場の具体 | 地域・業界で起きている変化と数字 | 地域のメディア、業界紙 |
| ツール・テンプレート | 無料の計算ツール、チェックシート | 同じ分野のブログ、まとめ記事 |
調査の設計から配信までは 独自調査コンテンツの企画から配信まで、ツールの公開は 無料ツール公開で被リンクを獲得する方法、材料の種類全体は リンクされる資産の作り方 に分けて書きます。
材料を届ける前に、社名やサービス名の表記をそろえておきます。記事ごとに表記が揺れると、言及が同じ会社のものとして積み上がりにくくなります。表記の決め方は エンティティSEOとは で扱っています。
判断の基準
Webやメディアに取り上げてもらう情報を出すとき、私はどんな状況でも、そのときのトレンドと、数値で定量的に伝わる表現を意識しています。同じ取り組みでも「いま話題のこと」とつながっていて、数字で言える材料のほうが、記事の中で使ってもらいやすいからです。
メディアが伝えたくなる要素を点検する枠組みとしては、電通PRコンサルティングの「PR IMPAKT®」があり、私も材料を見直すときによく使います。中身は公式の解説を読んでください。
誰にどう届ける?リリース・情報提供・寄稿・取材
届け方は4つあります。広く知らせるならプレスリリース、特定の媒体に向けるならメディアへの直接の情報提供、専門性を見せるなら寄稿、話を聞いてもらうなら取材です。配信サイトに載ること自体はSEOの成果ではなく、記事にされた先で付くリンクと言及が成果です。
| 届け方 | 向いている材料 | 相手が判断すること | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| プレスリリース | 事業の動き、調査結果 | 多くの中から記事にする価値があるか | 「プレスリリースのSEO効果と正しい活用」 |
| メディアへの情報提供 | 調査結果、現場の具体 | その媒体の読者に合うか | この記事 |
| 寄稿 | 専門家の見方、ノウハウ | 媒体の質に見合う内容か | 「寄稿・取材掲載の獲得方法」 |
| 取材 | 現場の具体、専門家のコメント | 話を聞く価値がある人か | 「寄稿・取材掲載の獲得方法」 |
プレスリリースは、配信サービスに出すと、サービスのサイトと提携サイトに掲載されます。2026年10月31日に主要な配信サービス3社の配信ページを確かめたところ、本文中のリンクの属性は次のとおりでした。
| 配信サービス | 本文中のリンクの rel 属性 |
|---|---|
| PR TIMES | nofollow ugc noopener |
| @Press | nofollow noopener ugc |
| ValuePress | nofollow(自社の転送URLを経由) |
3社とも、配信ページの本文のリンクには nofollow が付いていました。配信ページのリンクは、もともと順位に評価を渡さない作りになっています。
配信ページのリンクがどう扱われていても、それは記者が記事にした先のリンクとは別物です。リリースの書き方と配信の手順、効果の見方は次の記事で扱います。
メディアへの直接の情報提供は、記者や編集者に個別に材料を送るやり方です。媒体の過去の記事を読み、その読者に合う切り口を1つに絞って送ります。リリースより手間はかかりますが、相手の判断が早くなります。
寄稿と取材は、専門性を持つ人がいる会社に向いています。寄稿のリンクの指定がGoogleのポリシーとぶつかりやすい点は SEO外部対策とは で、依頼の仕方と企画の出し方は 寄稿・取材掲載の獲得方法 で扱います。
どこからがリンクスパムやステマになる?PRの活動ごとの線引き
PRそのものは正当な手段です。問題になるのは、お金や物と引き換えに評価を渡すリンクを付けさせるとき、リンクの言葉を最適化して配るとき、広告であることを隠すときの3つです。
確かめる先は2つあります。1つはGoogleのスパムポリシー、もう1つは日本の景品表示法にもとづくステマ規制です。Googleのポリシーを守っていても、広告であることを表示していなければステマ規制の問題が残ります。
| 活動 | Googleで問題になる形 | 日本の法令で気をつけること | 安全な形 |
|---|---|---|---|
| リリース配信 | 最適化したアンカーのリンクを入れて配る | 通常は対象外。自社の発信と分かる | 自然な言葉で必要なリンクだけ |
| メディアへの情報提供 | 掲載やリンクに対価を払う | 対価があれば広告と表示が要る | 材料だけを渡し、判断は記者に任せる |
| 寄稿 | 最適化したアンカーのリンクを入れる | 依頼して書いてもらうなら表示が要る | 内容が伝わる言葉で必要な箇所だけ |
| 取材 | 掲載の条件としてリンクを求める | 対価があれば広告と表示が要る | リンクは記者の判断に任せる |
| 記事広告・タイアップ | 評価を渡すリンクをそのまま入れる | 広告であることを表示する | PR表示と rel=”sponsored” |
| 商品を送ってレビュー依頼 | 商品と引き換えに通常のリンクを書かせる | 依頼した投稿は広告と表示する | 提供の表示と rel=”sponsored” |
Googleのスパムポリシーは、対価を受けた記事広告に評価を渡すリンクを入れること、ほかのサイトで配る記事・寄稿・プレスリリースにアンカーテキストを最適化したリンクを入れること、商品を送って書いてもらいリンクを含めてもらうことをリンクスパムの例に挙げています。対価のあるリンクには rel="sponsored"(または rel="nofollow")を付ければ、順位に影響しないリンクとして扱われます(「Qualify your outbound links to Google」)。
日本の法令の列は、ステマ規制の範囲に限っています。消費者庁は、2023年10月1日から、広告であるのにそれを隠す表示を景品表示法の不当表示に指定しました。規制の対象は広告主の事業者で、事業者が依頼して第三者に書いてもらう記事や投稿も含まれます。個別の案件が当たるかどうかは、消費者庁の運用基準や専門家で確かめてください。
同じスパムポリシーには、他サイトの評判を借りて順位を狙う「サイトの評判の不正使用」という項目もあります。ここでは、ニュース配信やプレスリリース配信のサイトは不正使用に当たらない例の最初に挙がっています。リリースを配信サービスに出すこと自体は、ポリシー上の問題ではありません。
商品提供と記事広告の線引き、Googleの判定の2つの問いは、外部対策の記事に詳しく書きました。リンクを買ったときに何が起きるかは 被リンク購入のリスクとペナルティ事例 で扱います。
COCORO Pulse.は、受け手の媒体としての方針も決めています。広告やアフィリエイトのリンクを含む記事には、タイトルの下に「PR」と表示し、該当するリンクに rel="sponsored" を付けます(広告掲載ポリシー)。お金が動く掲載を頼む側は、受け手の媒体がこうした表示と属性を付けることを前提に考えるのがよいと私たちは考えています。リンクの属性を外してほしいという依頼は、受け手にとってポリシー違反の依頼になります。
デジタルPRの成果はどう測る?
成果は、掲載数と、その先の問い合わせを主に見ます。リンク、名前での検索、記事からの訪問は、掲載から問い合わせまでのあいだで何が起きたかを確かめる補助の数字です。
| 見るもの | どこで見るか | わかること |
|---|---|---|
| 掲載数(主) | 自分で記録する表 | どの材料がどこに記事にされたか |
| 問い合わせ(主) | GA4 のキーイベント、問い合わせの記録 | 事業の成果につながったか |
| リンク | Search Console のリンクレポート | 記事からリンクが付いたか |
| 名前での検索 | Search Console のブランドクエリ | 名前を知って探す人が増えたか |
| 記事からの訪問 | GA4 の参照元 | 記事の読者が実際に来たか |
私が支援先にPRの成果を報告するときも、中心に置く数字は掲載数と問い合わせの結果の数です。リンクの数だけを報告すると、「どれだけ事業の役に立ったか」が伝わらないからです。
掲載数は、記事のURL、掲載日、どの材料か、リンクの有無を1行ずつ表に記録します。配信サービスのレポートに出る「転載数」とは分けて数えます。
リンクは Search Console のリンクレポートで、どのサイトから付いたかを確かめられます。見方は Search Console完全ガイド で扱っています。名前での検索は、Search Console のブランドクエリのフィルタで追えます。指名検索の意味と増やし方は 指名検索を増やす戦略、AIに接した後の指名検索の追い方は AI接触後の指名検索を追う方法 に分けます。どの数字を目標に置くかは SEOのKPI設計 が参考になります。
デジタルPRは何から始める?会社の規模と材料で変わる進め方
材料が無いうちは、届け方を選んでも成果は出ません。順番は、名前と表記をそろえる、材料を1つ作る、届け先を絞って直接届ける、結果を記録して次の材料に活かす、の4段です。
- 名前と表記をそろえる社名・サービス名・代表者名の表記を、自社サイトと各種プロフィールで同じにする。ここが揺れていると、記事に載っても積み上がらない
- 材料を1つ作る自社にしかない数字か、現場の具体を1つ選ぶ。トレンドとつながるか、数字で言えるかを確かめる
- 届け先を絞って直接届ける材料を使ってくれそうな媒体と書き手を5〜10件に絞り、それぞれの読者に合う切り口で送る。広く知らせる価値があるときだけリリースも出す
- 結果を記録して次に活かす掲載数と問い合わせを表に残し、取り上げられた材料と取り上げられなかった材料の違いを次の材料選びに使う
小さな会社ほど、地域や業界の現場の具体という、大きな会社が持ちにくい材料を持っています。規模で届け方を変えるより、持っている材料に合う届け方を選ぶほうが近道だと考えます。
次に読む記事は、いまの状況で選んでください。
- 材料を作るところから始めたい → リンクされる資産の作り方
- プレスリリースを出す予定がある → プレスリリースのSEO効果と正しい活用
- 寄稿や取材を受けたい → 寄稿・取材掲載の獲得方法
- リンクを頼むかどうか迷っている → リンクの掲載依頼の進め方
よくある質問
記事広告を出すとき、リンクはどうしてもらえばいい?
リンクに rel="sponsored" を付けてもらい、記事には広告であることの表示を入れてもらいます。Googleは対価のあるリンクにこの属性を求めており、日本ではステマ規制で広告の表示が求められます。属性を外してほしいと頼むのはやめてください。
小さな会社でも記者に取り上げてもらえる?
取り上げられるかどうかは会社の規模より材料で決まります。地域で初めての取り組みや、業界の現場で起きている変化の数字は、小さな会社ほど持っていることが多いと編集部は考えています。地域のメディアや業界メディアへの直接の情報提供から始めるのがよいでしょう。
まとめ
- デジタルPRは、記事にする価値のある材料を作って届ける広報活動で、リンクと言及はその結果として付きます
- お金や物と引き換えのリンク、最適化したアンカーのリンクは、Googleのポリシーでリンクスパムの例です。対価があれば rel=”sponsored” と広告の表示の両方が要ります
- 成果は掲載数と問い合わせを主に見て、リンクや名前での検索は途中を確かめる補助の数字として扱います
参考にした一次情報
- Google Search Central「Spam policies for Google web search」リンクスパム、サイトの評判の不正使用 最終更新 2026-08-28、確認日 2026-10-31
- Qualify your outbound links to Google Google Search Central・最終更新 2025-12-10、確認日 2026-10-31
- SEO Starter Guide Google Search Central・最終更新 2025-12-10、確認日 2026-10-31
- Search Quality Rater Guidelines Google・2025-09-11版 3.3.1、確認日 2026-10-31
- 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 消費者庁・確認日 2026-10-31
- 広報戦略のフレームワーク『PR IMPAKT®』とは? 電通PRコンサルティング・更新 2026-09-25、確認日 2026-10-31
- 配信ページのリンク属性の確認(2026-10-31)PR TIMES / @Press https://www.atpress.ne.jp/news/9944396 / ValuePress https://www.value-press.com/pressrelease/383464
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